のんびり魔女さんのまったりブログ
- 銀雨PC(+PL)のつぶやき。 ときどき別PCも乱入。 気まぐれ更新です。リンクはどなたでも、ご自由に~。
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SS『その日を過ぎても』
<PLより>
こちらのカテゴリでは、PC関係の文章を載せています。
そういったものに興味のない方、苦手な方はこのままスルーで。
SS本文は、追記のほうになります。
興味のある方は右下にあるリンク文字をクリック、で読めるはず。
過ぎた日の言い訳、のようなもの。
カレンダーを眺めて、玲はため息をついた。
こころなしか、表情も沈んでいる。
それもそのはず、今は2月も後半と呼べそうな時期だ。
街は一時の盛り上がりも収まり、いつもどおりの日常を取り戻している。
日常に不満があるわけでは、けしてない。
やがて来る何かに、嫌な感情を抱えているわけでもない。
問題なのは、とうに過ぎてしまった日のことだ。
銀誓館学園に入ってから、初めてのバレンタイン。
玲は結局、誰にもチョコレートを渡せなかった。
(……あんなに楽しみにしていたのに)
ついにうつむいた彼女の手元には、扇子がひとつ。
バレンタイン前の催しで作ったものだ。
広げれば、黒地に咲く梅の花がうつくしい。
作る前から。
作っているときも。
そして作ったそのあとも。
これを誰に手渡そうかと、悩みに悩んでいた。
そして、結局。
悩みぬいているうちに、肝心のその日は終わってしまった。
(ばかみたいです……)
大きくため息をついて、玲は手元の扇子をしまう。
沈んだ気持ちを振り払うかのように、ぎゅっと目を閉じて首を振った。
見上げる空は、あいにく曇っている。
けれど、それでも構わない。
「次こそは、きっと……!」
雲のむこうの太陽に、そして自分の胸に誓う。
その日が過ぎても、思いが消えたわけではないのだ。
*****
「このチョコレート、どうしましょうか…」
扇子といっしょに渡そうと思っていた、黒い包みに赤いリボンを結んだ小箱。
中にはもちろん、チョコレートが入っている。
しばらく小箱を見つめていた玲だったが、やがて包みを開けていった。
扇子に夢中で時間が取れなかったせいもあり、中身は市販のものである。
「証拠隠滅、しちゃいましょう♪」
お茶の時間につまんだ一口は、なんだかほろ苦い気がした。
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